8日のリーガエスパニョーラ第11節、アトレティコ・マドリーは本拠地ビセンテ・カルデロンでのスポルティング・ヒホン戦を1-0で制した。
アトレティコが年1回のペーニャ(クラブ公認の応援グループ)の日に迎えた相手は、アデラルド監督率いるスポルティング。アトレティコ同様に選手としてクラブに在籍した英雄が指揮を執り、堅守速攻を絶対的な哲学とするチームとの対戦である。
もちろん互いに堅守速攻を哲学とすれば、ボールを持つのはヒエラルキーにおいて上に位置するチーム、アトレティコとなる。そしてシメオネ監督率いるチームは、リーガ前節デポルティボ戦(1-1)、チャンピオンズリーグ・アスタナ戦(0-0)と同様、ポゼッション率を上げる程に前線の連係不足を露呈していく。そのように停滞する試合で、30分までに目立ったトピックはフィジカルコンタクトの応酬からスポルティングの2選手が続行不可能となったこと。アデラルド監督はセルヒオ・アルバレス、ゲレーロをナチョ・カセス、カルロス・カストロに代えた。
32分には組織的な守備から速攻を仕掛けるスポルティングが、前半最大の決定機を迎える。ジョニーのマイナスのパスから、バルセロナからのレンタルで在籍するハリロビッチがシュート。だが、これはGKオブラクがファインセーブを見せ、スコアが動くことはなかった。開始からの45分、ペーニャでひしめくカルデロンが喝采を送ったのは、アトレティコGKが好守を見せたこの場面のみ。それ以外のリアクションは、カウンターの芽を潰すガビらのファウルが取られた際に、エストラーダ・フェルナンデス主審(カタルーニャ出身)に浴びせられるブーイングだった。
シメオネ監督はハーフタイム、負傷のためかフアンフランに代えてヘスス・ガメスを投入。チームは前半同様にボールを保持しながら攻め込むも、アトレティコの下部組織出身で、シメオネ監督とともにプレーした経験もあるGKクエジャールが壁として立ちはだかる。55分、カラスコのお膳立てからグリーズマンが放ったシュートは、この31歳のヒホンGKに弾かれた。
シメオネ監督は64分、コケとの交代でアンヘル・コレアを入れてアタッカーの数を増やす。66分にはアトレティコで最も効果的なプレーを見せるカラスコが、再びグリーズマンにチャンスを供給。だが公式戦ここ4試合でノーゴールのフランス代表FWのシュートはクエジャールに弾かれ、こぼれ球を押し込もうとしても元アトレティコGKの超反応に阻まれた。また68分にはスポルティングの反撃を受け、ジョニーにミドルシュートを打たれるも、枠の隅へと向かったボールはオブラクが横っ飛びでセーブ。試合は、スコアレスのまま時間だけが経過していった。
アルゼンチン人指揮官は78分、カラスコとの交代でオリベル・トーレスをピッチに立たせる。しかしながら、たとえカンテラーノの投入でも、カラスコを下げることに観衆は同意できず、カルデロンでは滅多にないシメオネ監督へのブーイングが起こった。それでもアトレティコを後押しする声はあり続けたが、スポルティングの執念の守備を前に攻撃の手立てをなくしていく…。
電光掲示板でアディショナルタイムが4分と提示された段階で、カルデロンはすでに応援のトーンを下げていた。だがしかし、グリーズマンが失望の淵から歓喜の声を引き出した。92分、不振とされたエースはゴディンが送ったボールからペナルティーエリア内に侵入。対応するクエジャールを前に頭でボールを押し込み、今季のリーガ5得点目を記録した。最高潮となったスタンドのボルテージと、悲しみに暮れるヒホンの選手たちが強烈なコントラストとして浮かび上がりながら、試合は終了のホイッスルが吹かれている。
苦しみ抜いて、公式戦3試合ぶりの勝利を手にした3位アトレティコは、勝ち点を24に伸ばした。スポルティングは勝ち点12で14位に位置している。
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