21日のチャンピオンズリーグ(CL)・グループC第3節、アトレティコ・マドリーは本拠地ビセンテ・カルデロンでのアスタナ戦を4-0で制した。
アトレティコ、驚きのチームとの対戦である。マリボル、ヘルシンキ、アポエルを下してCL本選にたどり着いたカザフスタン初の本選参加クラブ、アスタナ。驚きはそれだけにとどまらない。今回の試合では、招集メンバーを発表せずに6000キロ(飛行機で8時間)の距離を横断してマドリッドに到着し、試合前日にレギュラー8選手をカザフスタンに置き、トップチーム15選手+下部組織2選手でやって来たことが明らかに。CL決勝トーナメント、またEL出場枠の3位を狙える状況ながら、ストイロフ監督はプライオリティーがあくまでリーグ戦にあることを強調している…。
いずれにしても、前節ベンフィカ戦を落としているシメオネ監督のチームにとって、アスタナとの2連戦では勝ち点6獲得を計算する必要がある。が、“試合から試合へ”を貫くアルゼンチン人指揮官が、試合前から同勝ち点数を自チームの懐に入れることはない。この一戦では、前試合レアル・ソシエダ戦でスタメンだったフィリペ、ホセ・ヒメネス、コケ、アンヘル・コレアの代わりにシケイラ、サビッチ、サウール・ニゲス、カラスコを起用。ガビ&チアゴのベテラン2ボランチや、グリーズマン&ジャクソン・マルティネスの2トップは再び先発させている。
試合は予想された通り、アトレティコ陣地からアスタナ陣地への一方通行の展開に。しかしアスタナが5バックを敷き、そしてアトレティコの攻撃がいまだちぐはぐな状態であることで、この通行路はゴールを前に進行が妨げられる状況が続いた。しかしながら22分に迎えた右CKの場面で、アトレティコがようやくボールをネット内に収める。ガビのショートコーナーからカラスコがグラウンダーのクロスを送ると、これに反応したサウールがヒールシュートでGKエリッチを破った。
アトレティコはさらに29分、ジャクソン・マルティネスが公式戦9試合ぶり、そしてカルデロンでの初ゴールを記録。コロンビア代表FWは、ペナルティーエリア内でゴールに背中を向けながらパスを受け、アスタナ守備陣の寄せの甘さもあって反転してから左足でボールを押し込んだ。アトレティコの入団発表で8000人を集めた実力をいまだ発揮できずにいる背番号11だが、この試合に集まった4万人の観衆から温かな喝采を浴びている。
2点差としたシメオネ監督は、ハーフタイムにチアゴとの交代でオリベルを投入。アトレティコはボールを保持した攻撃に加え、アスタナが前に出ざるを得なくなったことでカウンターも織り交ぜながら追加点を目指した。アルゼンチン人指揮官は58分に2枚目の交代カードを切り、グリーズマンを下げてA・コレアもピッチを立たせる。
選手交代を敢行しながらも、少しずつリズムを落としていったアトレティコ。だが63分に伝家の宝刀であるカウンターの切れ味を見せた。自陣でボールを奪い、ガビが相手ペナルティーエリア手前まで持ち込むと、右前方に位置していたオリベルにスルーパス。最近調子を落としていたアトレティコのカンテラの至宝は、右足のループシュートによってネットを揺らしている。
アトレティコは3点目の直後、ケテボアマのミドルシュートを許したが、GKオブラクのファインセーブによって失点を回避する。シメオネ監督は76分にJ・マルティネスをピッチから下げ、ウォームアップ中から観衆を盛り上げていたファンのアイドル、フェルナンド・トーレスを投入。しかし観衆はピッチから下がるJ・マルティネスに対しても、再び喝采を送っている。
アトレティコはその後、オリベル、フェルナンドと二人のトーレスが決定機を迎えるも、最後の詰めでの精度を欠いてしまう。終盤は停滞する状況によって、カルデロンの熱狂は徐々に失われていったが、90分に4点目が決まりもう一度盛り上がりを見せる。A・コレアのスルーパスからサイドを突破した三人目のトーレス、フアンフランがF・トーレスにボールを折り返すと、これがデデチコのオウンゴールを誘発した。観衆が「この選手たちは誇り!」「オレ! オレ! オレ! チョロ・シメオネ!」と叫ぶ中、試合は終了のホイッスル。結果は、何も驚きがないものとなった。
グループCのもう一戦、ガラタサライ対ベンフィカは2-1でガラタサライが勝利。同グループの順位は、1位アトレティコ(勝ち点6)、2位ベンフィカ(勝ち点6)、3位ガラタサライ(勝ち点4)、4位アスタナ(勝ち点1)となっている。
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