スペインはワールドカップ予選の最大の山場、敵地でのセルビア・モンテネグロ戦で3ポイントを奪う事はできなかった。スペインは前半からホームのセルビア・モンテネグロを圧倒、ボール支配率で完全に相手を勝り、相手に攻撃のチャンスを作らせなかった。セルビア・モンテネグロの攻撃陣がスペインのディフェンスを始めて脅かすまでに20分掛かった。しかし、ここもプジョールとパブロが相手2トップのケズマンとミロセビッチを完璧に抑える。スペインの攻撃陣はデ・ラ・ペーニャとフェルナンド・トーレスを中心に何度か相手ゴールに攻め込むものの、レジェス、ホアキンが上手くそこに絡む事ができず、分厚い攻撃が作れなかった。
前半終了間際にはスタンコビッチからのパスを受けたジョルジェビッチが右足でボレーシュート。結果としてゴールにはならなかったがゴールになってもおかしくないほどのビッグチャンスだった。終了直前にプジョールが足首を捻り彼が治療を受ける。その間、スペインは10人で乗り切り、そのまま前半を終了。このプジョールの怪我は予想以上に重く、後半開始からフアニートに交代せざるを得なかった。また、デ・ラ・ペーニャに代わりラウルがピッチに投入された。そしてこの試合でスペインのキャプテンは復活を遂げる事になる。
後半は両チーム共に良いプレーが続き、白熱した攻防が続いた。後半最初にビッグチャンスを掴んだのはセルビア・モンテネグロだった。カシージャスと1対1になったケズマンが右足を振りぬきボールはゴール右隅へ。誰もがゴールかと思ったが、ボールはポストに弾かれスペインは大量の冷や汗を流した。スペインもチャビがバルサで見せているように攻撃のタクトを握りラウルはピッチを走り回りチャンスを作ろうとした。そしてコーナーからラウルが頭でそらしたボールにフアニートがフリーで飛び込むがボールは僅かにゴールアーの上を通過。代表監督のルイス・アラゴネスの口は「ゴール!!」と叫ぼうとしていたが、それは声にはならなかった。
アラゴネスは後半、目立った活躍が無かったレジェスに代えてアトレティコのアントニオ・ロペスをデビューさせるが、何も変わりはしなかった。審判のミスが試合を壊していったのだ。アントニオ・ロペスからのクロスに反応しようとしたラウルが押されてペナルティを要求するが審判は笛を吹かず、変わりにアラゴネス監督の怒声がベンチから飛んできた。こうして、試合は徐々に引き分けへと向かっていった。終了直前にはパブロがこの日それまで及第点以上の活躍を台無しにするようなミスを犯すもジョルジェビッチのシュートは枠を外れて事なきを得た。そして試合はそのまま0-0の引き分けに終わった。
勝ち点こそ1だったが、内容はポジティブなものと考えていいだろう。後半から入ったスペインのキャプテン、ラウルは復活を思わせる見事な働きでチームを牽引。他にも安定した守備を見せたパブロとフアニート、チームのオーガナイザーとなったチャビにゲームにアクセントをつけたデ・ラ・ペーニャ、この日、代表スタメンデビューを飾った19歳のセルヒオ・ラモス、フェルナンド・トーレスもゴールこそ無かったが前線の核としてチームを引っ張った。唯一、ネガティブなポイントを挙げるとすればプジョールの負傷くらいで、後は悪くない結果と言えるのではないだろうか。だが、スペインはワールドカップ出場の為には、ここから最終戦まで厳しくなることは間違いない。
<セルビア・モンテネグロ>
イェブリッチ、ビディッチ、ガブランチッチ、クルスタイッチ、ドラグティノビッチ、コロマン(→バスタ・77)、ドゥリャイ、スタンコビッチ、ジョルジェビッチ、ケズマン(→イェストロビッチ・80)、ミロセビッチ(→イリッチ・65)
<スペイン>
カシージャス、S・ラモス、パブロ・イバニェス、プジョール(→フアニート・46)、デル・オルノ、チャビ、アルベルダ、デ・ラ・ペーニャ(→ラウル・46)、ホアキン、レジェス(→アントニオ・ロペス・62)、フェルナンド・トーレス
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