イバガサはアトレティコの希望だ。アトレティコが窮地に陥っていたその時、チームを救ったのがイバガサだった。彼がこの試合で見せたいくつものアシストのおかげで、アトレティコは大量得点も可能なはずだったが、またしてもフェルナンド・トーレスの決定力不足が嘆かれた。アルバセテは素晴らしいゴールで先制したものの、審判の判定に調子を狂わされたまま敗北。勝ったフェランド監督は、気を取り直してもう一度ヨーロッパを目指すことになる。
試合が始まって間もなく、アトレティコのプランは崩れ去った。アルバセテのフランシスコは自陣のペナルティエリアでボールを奪うと、悪魔のように走り出しリュクサンをかわす。そしてピッチ中央まで走った彼は、レオ・フランコの位置を確認して完璧なロングループシュートを放った。記憶に残るスーパーゴールである。
リードを許したアトレティコは一気に不安を抱えてしまう。しかし幸運にも、プエンテス・レイラ主審はコルサが倒れこんだのを見て、ありもしないPKを指示。フェルナンド・トーレスがこれを決め、久々のゴールで観客の溜飲を下げた。
そしてここからイバガサのワンマンショーが始まった。このチームの舵を取る彼は、中盤から広い視野でピッチを見回し、ミリ単位のパスを送り、フィジカルでも相手を圧倒。DF2人を振り切り、さらに3人目のDFの股を抜くパスを送るなど、名前を一気に挙げる大活躍だった。そしてついにこぼれ球を叩き込んで逆転弾まで生み出してしまう。
そして、ハーフタイムを待たずしてアトレティコは試合を決めた。リュクサンのフリーキックを冷静にパブロが沈めて、アルバセテに痛恨の打撃を与えたのである。
後半に入っても、アトレティコのオーケストラによる独演会が続いた。指揮を執るのはもちろんイバガサ。この試合をビデオに撮っておけば、子供たちにパスの出し方を教えるときに役に立つはずである。彼はひたすらアシストを送り続けたが、それを受け取った彼の仲間はそれを決めることが出来ない。味方がどれだけ決定的なチャンスを外しても、決して諦めないイバガサだったが、彼の最高のパスを決められる者は誰一人としていなかった。
パブロが、コルサが、そしてトーレスが何度も決定機を外してくれたおかげで、アルバセテはこれ以上の失点を免れている。一方のフェランド監督は、獲得したてのリチャルド・ヌニェスをデビューさせる余裕を見せていた。
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