アトレティコ、絶対に勝たなければならない一戦もドローで終える…決勝T進出には奇跡が必要に/CLグループC第4節

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31日のチャンピオンズリーグ・グループC第4節、アトレティコ・マドリーは本拠地エスタディオ・メトロポリターノでのカラバフ戦を1-1で引き分けた。

第3節までを終えて、勝ち点2しか獲得していないアトレティコ。過去に同様の状況から決勝トーナメント進出を果たしたのは187チーム中17チームのみ、つまり確率はわずか9%となる。有名になり過ぎた今ではあえて口にすることもない「パルティード・ア・パルティード(試合から試合へ)」なる一戦必勝の哲学が、かつてないほどに求められる状況だ。

シメオネ監督率いるコーチ陣は、この試合の前日練習を前本拠地ビセンテ・カルデロンで行うことを決定している。マハダオンダにある練習場で30日午前にラージョ・マハダオンダ、午後にアトレティコ女子チームの試合を行ったため、ピッチコンディションも考慮してのことのだろう。だがリーガエスパニョーラ優勝、コパ・デル・レイ優勝、ヨーロッパリーグ優勝、そして2度にわたるCL決勝進出のために不可欠だった伝説の要塞の空気を吸い込むことを、「カルデロンとともにあらんことを」願ったのかもしれない。

そして、メトロポリターノである(UEFAがネーミングライツを認めていないためにワンダの名は外れる)。新スタジアムでのここ3試合の成績は1分け2敗と芳しくないが、こけら落としから6戦連続となる6万人以上の動員を記録するなど、チームが必要としている情熱には事欠かない。「私は行く。マンサナレス川へ、エスタディオ・ビセンテ・カルデロンへ」という歌詞で始まるクラブのイムノが大合唱で歌われ、チャンピオンズリーグのアンセムが流れた後に、試合はキックオフを迎えている。

コケとカラスコを負傷で欠くアルゼンチン人指揮官はGKオブラク、DFフアンフラン、サビッチ、ゴディン、フィリペ、MFコレア、トーマス、、サウール、FWガメイロ、グリーズマンを起用。前試合ビジャレアル戦と変わらないスタメンは立ち上がりからフルスットルでゴールを目指したが、決定力を欠くことまで変わらない。4分にグリーズマンが放ったボレーはGKセヒッチがセーブし、15分にはガメイロがカラバフ守護神と1対1となるもこちらも決め切れず。フランス代表FWは18分にも決定機を迎えるが、シュートはDFに弾かれた。

猛攻を実らせることができなかったアトレティコは徐々にギアを落としていき、30分過ぎにはカラバフのボール保持を許すように。そして42分、今季のウィークポイントである空中戦からまたも失点。サイドのFKからミチェルにヘディングシュートを放たれ、オブラクが必死に手に触れたにもかかわらず、ボールは枠内に収まった。今季、ヘディングシュートからの失点は7回目。メトロポリターノはカルデロンの熱狂を思い起こさせるどころか失望の雰囲気を漂わせ、観客は自チームに対して野次を飛ばしていた。

1点ビハインドのまま後半を迎えたアトレティコだが、前線が決定力を欠き続ける状況は変わらず。49分にはコレアのシュートをセヒッチが弾き、そのこぼれ球にガメイロが詰め寄ったが、押し込むことはかなわなかった。フラストレーションを溜めていったメトロポリターノだったが56分、トーマスが豪快な一発を決め、観客が抱える不満を歓喜に変えて爆発させた。背番号5はペナルティーエリア手前でグリーズマンのバックパスを受け、右足を一閃。凄まじい勢いのボールが、枠のに右に突き刺さった。

メトロポリターノでは、先制するも終了間際に失点を喫するということを繰り返してきたアトレティコ。このスタジアムで追われる側から追う側に回るのは初めてだが、こうした状況での応援の迫力はやはり凄まじく、チームは呼応するようにインテンシティーを高めてさらなる攻勢を仕掛ける。そして59分にはゴディンに悪質なタックルを見舞ったペドロ・エンリケが退場となり、アトレティコが数的優位に。シメオネ監督は61分にトーマスをガイタンに代え、70分にはガメイロとの交代でフェルナンド・トーレスをピッチに立たせた。

ときには90%を超えるポゼッション率を記録しながら攻めて、攻めて、攻めまくるアトレティコだったが、カラバフの守備は堅い。83分にはガビが枠を捉えるミドルシュートを放ったが、これはセヒッチのさらなる好守に遭う。焦りが募る中、88分には前線でキンターナを倒したサビッチが2回目の警告で退場となり、数的有利が解消されてしまう。それでも観客は「バモス・アトレティ・バモス、バモス・アトレティ・アレ!」「アトレティへの愛、お前には分かるまい」などのチャントや、単純に「バモス」とだけ叫び、逆転を信じ続けた。

後半アディショナルタイム、ゴディンが前線に残って決死の攻撃を見せたシメオネ監督のチームは、確かに決定機を生み出した……。だがしかし、90分にサウールが頭で合わせたボールはクロスバーの上に飛び、91分にゴディンが放ったヘディングシュートはセヒッチの正面に。94分、ゴディンが頭でそらしたボールにグリーズマンは合わせられず、直後にペナルティーエリア内フリーのガイタンが放ったシュートはセヒッチに弾かれた。ゴールはどうやっても決まらず、試合は1-1のまま終了のホイッスルが吹かれている。

終了後、悲しみに暮れるアトレティコの選手たちは、センターサークルに集まってスタンドに拍手を送る。これに対しては、あたたかな拍手を返すファンもいれば、失望のあまりブーイングの指笛を吹くファンも。アトレティコは、カルデロンでプレーしていた頃のチームになり切ることができなかった。

今季の公式戦成績が5勝9分け1敗と、引き分け地獄から抜け出せないアトレティコ。グループHでは首位ローマに勝ち点5差、2位チェルシーに勝ち点4差をつけられており、同グループ突破のためにはチェルシー、ローマとの試合に勝ち、その両チームのいずれかがカラバフとの試合を引き分け以下で終えるという”奇跡”が必要となった。

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